ことばの通い路

たまに何か書きます

クールモアの有力馬2020

The master of Ballydoyle

クールモアスタッドの所有馬の大半を管理するエイダン・オブライエン調教師。調教は専らクールモアの専用調教場であるバリードイルで行われ、ここから数々のスターホースが生まれています。

そんなクールモア陣営の有力馬たちの今後の予定が、海外競馬メディアであるat the racesの以下の記事にまとめられていました。

www.attheraces.com

私自身の備忘録的な意味も込めて簡単に翻訳したので、紹介してみることにします。

最近はDeepL翻訳というサイトが便利で、競馬関係の英文記事をここで翻訳して大雑把に意味を掴んだりしてます。

今回もDeepL翻訳の力を借りつつ、細部は私自身で手直ししながら訳してみました。所々翻訳が微妙なところがあったりするかもしれませんが、まあ大目に見てください。

なお、元の記事から次走の予定とエイダンのコメントを抜き出して掲載しますが、次走予定とコメントの内容があまり噛み合ってないところもあるので、その辺りはご了承ください。*1

What is Coolmore

紹介に入る前に、ごく簡単にクールモアについて触れておきます。知ってるよと言う人は読み飛ばしてください。

クールモアはアイルランドを中心に競走馬の生産・所有を行うグループです。

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Coolmore

上の写真の右から2番目がクールモアの事実上の総帥であるジョン・マグナー氏です。このマグナー氏と、真ん中のマイケル・テイバー氏、一番左のデリック・スミス氏の3名が競走馬を共同所有しています。

また、写真の左から2番目がエイダン・オブライエン師、一番右が主戦騎手のライアン・ムーアです。

エイダンはいつもグラサンをかけて携帯電話を片手に持っているイメージです。ムーアは日本でもお馴染みですが、勝った時に敬礼のようなポーズで指を帽子に添えるのが格好いいですね。

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Ryan Moore & Salios

競走馬の馬主名義は大抵マグナー氏の妻であるスーザン・マグナー氏(以下マグナー夫人)の名を使い、「Mrs John Magnier, Michael Tabor & Derrick Smith」といった風に連名で表記されます。

競走馬によってそれぞれ表記順が異なり、先頭に記される名前の人の勝負服を着ることになります。

マグナー夫人の勝負服は濃紺です。クールモアと言ったらこの勝負服ですね。ゴドルフィンのロイヤルブルーと並ぶ有名な単色勝負服です。

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Giant's Causeway

画像のジャイアンツコーズウェイの他、ガリレオディラントーマスデュークオブマーマレードなど錚々たる名馬がいます。他の勝負服も全部錚々たる名馬ですが。

マイケル・テイバー氏の勝負服はこれです。

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Hurricane Run

個人的にこの勝負服がクールモアの中で一番好きです。ハリケーンランの他、モンジューハイシャパラル、オーダーオブセントジョージなど。やっぱり凄い。

そしてデリック・スミス氏。

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Camelot

全部格好いいですね。キャメロットの他、マインディング、オーストラリア、サクソンウォリアーなど。

ちなみに、これらの勝負服を着ていたとしても共同所有ではなく個人所有の場合があるので気をつけてください。上記の例ならディラントーマスデュークオブマーマレードは名義がマグナー夫人のみ、ハリケーンランモンジューはテイバー氏の個人所有といった具合です。

それでは次項から古馬の紹介をしていきます。

古馬(4歳以上 牡・牝)

  • Anthony Van Dyck アンソニーヴァンダイク 4 牡

次走:コロネーションカップ GⅠ 6/5 ニューマーケット

「現時点ではコロネーションカップに出走させ、そこから様子を見る。2000mから2400mを使い続ける予定で、良馬場で使えることが重要になる。昨年重馬場のキングジョージを走らせたことが彼を動揺させたようなので、今年はできるだけそれを避けたい。」

ご存知、昨年の英ダービー馬ですね。

ダービーでは4番人気*2ながら場群を上手く捌いて勝利をおさめたものの、続く愛ダービーでは同厩舎のソヴリンに6馬身差をつけられ敗北。*3

その後はアメリカや香港を転々としましたが結局勝利をあげることはできず。

2015年のゴールデンホーン*4以来強いダービー馬が出てきていないような気がするので、アンソニーヴァンダイクには是非頑張ってもらってダービー馬の意地を見せつけてほしいところです。


  • Broome ブルーム 4 牡

次走:コロネーションカップ GⅠ 6/5 ニューマーケット

コロネーションカップから始動する。彼には良馬場が良く、2400mが合っている。昨年は一年を通して使えなかったし、愛ダービーも上手くいかなかった。今年は4歳になってより良くなると考えており、どんな走りを見れるか楽しみだ。」

後述するジャパンと共に、日本人馬主であるキーファーズと共同所有されています。勝負服はマイケル・テイバー。

2019年の凱旋門賞では武豊鞍上で出走するかと思われましたが、体調不良で回避しました。また、宝塚記念への予備登録がこれもジャパンと共になされていましたが、やはり回避しています。

近年外国馬が出走しても全く結果を残せないジャパンカップと違って、宝塚記念は開催時期的に馬場が渋りやすく、また阪神競馬場2200mという非根幹距離(400の倍数でない距離)で開催されます。

そのため外国馬が好走する可能性もある*5と思っていただけに、結果的に参戦せずということで残念です。

なお、創設以来初めて外国馬の参戦がなかった昨年のジャパンカップですが、それこそ昨年のような渋った馬場でない限り外国馬が好走することはもうほぼ不可能に近いと思われます。

2011年にはデインドリーム、2012年はソレミアと凱旋門賞馬が連続して来ましたが、結局6着・13着と、府中ではまったく実力を発揮できでいないのが現状です。

開催場や距離の変更など色々と考えることはありますが、その辺りのことはまたいずれ書くつもりです。


  • Circus Maximus サーカスマキシマス 4 牡

次走:グラッドネスステークス GⅢ 6/13 カラ

「彼は調子が良く、ロイヤルアスコットクイーンアンステークス(6/16)に直行する予定。テンポの良さを楽しんでいるし、マイルが一番似合っているように思えるので、その辺りを維持することになるだろう。」

サーカスマキシマスはクールモアとフラックスマンステーブルズとの共同所有です。前述のブルームしかり最近クールモアは共同所有が増えている気がします。何か狙いがあるんでしょうね。

ラックスマンとはスタブロス・ニアルコス*6に端を発するニアルコスファミリーの馬主名義の一つです。

そのため勝負服はクールモアのいずれのものでもなく、ニアルコスファミリーの勝負服で出走しています。

次走予定がグラッドネスステークスになっていますが、インタビューではクイーンアンステークスになっています。どちらを使うのか、はたまた両方使うのか分かりませんが、マイル路線を使うのは確かなようです。

セントジェームズパレスSムーランドロンシャン賞を勝っているので妥当でしょう。トゥーダーンホットが引退した今、欧州マイル最強馬の座にもっとも近いのはこの馬でしょうか。


  • Fleeting フリーティング 4 牝

次走: ランウェイズスタッドステークス GⅡ 6/13 カラ

「調子が良く、始動する準備はできている。ムーアズブリッジステークスかロイヤルアスコットに直行するのが主な選択肢になるだろう。2000mか2400mが一番合っている。去年GⅠを勝てなかったのは少し不運だったが、良いレースをしてくれたし、今シーズンももっと良いレースができると期待している。」

昨年愛オークスヴェルメイユ賞(仏の牝馬セントレジャー。日本でいうところの秋華賞)で、あのエネイブルを管理する英ジョン・ゴスデン厩舎のスターキャッチャーに負けた馬ですね。

この馬も次走がはっきりしません。勝負服は濃紺です。


  • Japan ジャパン 4 牡

次走:プリンスオブウェールズステークス GⅠ 6/17 アスコット

「彼には本当に満足している。始動戦はロイヤルアスコットプリンスオブウェールズステークスになるだろう。2000mと2400mの両方に合っており、良馬場が向いているようだ。昨シーズンはレースを重ねるごとに成長してきたので、今シーズンはさらに成長してくれることを期待している。今後が楽しみな馬だ。」

前述したようにキーファーズとの共同所有馬です。勝負服はデリック・スミスの紫のやつです。

ダービーでは3着に敗れたものの、英国際SではプリンスオブウェールズS勝ち馬クリスタルオーシャンや日本のシュヴァルグラン相手に勝利をおさめました。

その後凱旋門賞でも4着と好走したクールモアの中長距離路線での牡馬大将格です。ジャパンがジャパンで走るところを見たかった…


  • Kew Gardens キューガーデンズ 5 牡

次走:ゴールドカップ GⅠ 6/18 アスコット

ロイヤルアスコットゴールドカップに直行するつもりだ。勿論前哨戦を使った方が良かっただろうが、ドバイミーティングで使う準備をしていたので、今年の早い段階から良い状態になっている。遠征が彼の能力を最大限引き出すと考えており、昨年10月アスコットで3200m以上の距離に初挑戦した時は我々を喜ばせてくれた。ゴールドカップは彼にとってもう一つのステップアップになるだろうが、上手くいくことを期待している。彼は一流のステイヤーだ。」

2018年英セントレジャー勝ち馬ですね。勝負服はデリック・スミス。

昨年は愛セントレジャー2着から英チャンピオンズロングディスタンスCに向かい、長距離界の絶対的王者ストラディヴァリウスを下しています。

そのストラディヴァリウスコロネーションカップに登録があるので、今年は目下2連覇しているゴールドカップには向かわないかもしれません。

キューガーデンズはストラディヴァリウス不在のゴールドカップをしっかり勝ち切りたいところ。


  • Magic Wand マジックワンド 5 牝

次走:ランウェイズスタッドステークス GⅡ 6/13 カラ

「2000mから2400mで速い馬場と平坦コースが望むところだ。大きなレースには全て出走させるつもりだし、牡馬がどこを使うかに応じて彼女の合う舞台を使うだろう。遠征が好きで、どこで走るのか彼女自身も直前まで知らない。あらゆる面で素直で、調教が楽しいよ。」

世界を股に掛けるクールモアのドサ回り担当。愛、英、仏、米、UAE、豪、香、サウジの8ヵ国を渡り歩いています。勝負服はマイケル・テイバー。

2着の数は計9回で、厩舎の先輩ファウンド(11回)やミスターシルバーコレクター*7・フリントシャー(12回)の背中が見えてきました。

ちなみに同時期に走っていた上記2頭、シルコレとしてはフリントシャーの勝ちですが競走馬としては凱旋門賞を制したファウンドに軍配が上がるでしょうか。

ファウンド凱旋門賞勝ちタイム2:23.61はレコードであり、今も破られていません。


  • Magical 次走:ランウェイズスタッドステークス GⅡ 6/13 カラ

ロイヤルアスコットプリンスオブウェールズステークスは、彼女にとっては少し早いかもしれないので、6月28日にカラで行われるプリティポリーステークスに出走する可能性が高い。2000mが合っているようだ。急がせるつもりはなく、秋に向けて最高の状態を目指す。彼女のような優秀な牝馬がまた1年も調教に戻ってくるのは本当に嬉しいことだ。」

エネイブル被害者の会の一頭。一度は引退宣言したものの撤回し、2020年も走ることになりました。勝負服はデリック・スミス。

2018年の凱旋門賞以来、エネイブルのいないレースでは(6・1・0・0)と圧倒的な強さを見せています。18・19年の凱旋門賞では10着・5着と大きく負けていますが、やはりエネイブルが前を走っていました。

また愛・英チャンピオンSでは、日本のディアドラに立ちはだかっています。

次走はよくわかりません。いずれにせよまたディアドラやエネイブルと女の戦いを見せてほしいですね。


  • Sir Dragonet サードラゴネット 4 牡

次走:コロネーションカップ  GⅠ 6/5 ニューマーケット

「ネース競馬場でのレース以来彼にはとても満足している。コロネーションカップに出走するが、そこでも走ってくれるだろう。2000mと2400mの距離を使っていくと思う。ドナカはセントレジャーでの遠征は合わなかったと考えている。今年のホームでの彼の走りはとても良い。」

昨年のダービーは1番人気で5着。ライアン・ムーアを背に濃紺の勝負服を身に纏っていたのはこの馬でした。

年明け初戦ネース競馬場でのリステッドレースでは2着。コロネーションCは復活がかかる一戦です。


  • Sovereign ソヴリン 4 牡

次走:未定

「調子は良いが、彼はどちらかと言うと秋期向きの馬だと考えているので、今のところは緩やかにやっている。体力的にも良く、馬場でも扱いやすく純粋な馬だ。2400mが合うだろう。」

昨年の愛ダービーでアンソニーヴァンダイク相手に大逃げを敢行し勝利。英ダービーでは9馬身ほど負けていたのに今度は6馬身の差を付けて雪辱を果たしました。

この愛ダービー以来1年近く出走していません。復帰戦は秋以降ということでもっと間隔が空きそうです。



古馬は以上です。翻訳ミスなどありましたら遠慮なくご指摘ください。

続いて3歳馬ですが、記事が長くなったので次回とします。元記事の馬を全部取り上げるのは結構面倒くさいので、次は何頭かピックアップする形になるかもしれません。

ひとまず、ここまで読んでいただきありがとうございました。

*1:欧州競馬ではとりあえずレースに登録だけしておき、直前で回避(スクラッチ)するということがよくある。本当に使うかどうかは結局当日になってみないと分からないのである。

*2:クールモア陣営の主戦騎手ライアン・ムーアはサードラゴネットに騎乗しており鞍上はシーミー・ヘファーナン、勝負服もマグナー夫人の第2服色である桃色。

*3:満を持して鞍上はムーア騎手、第1服色の濃紺の勝負服となったが、桃色の勝負服を着たソヴリンに先着され、英ダービーとは逆の立場となってしまった。

*4:Golden Horn デットーリ騎手とのコンビでダービー、凱旋門賞などGⅠ4勝。生涯全連対で抜群の安定感を誇った。

*5:2200mで好走した外国馬としては、2018年宝塚記念2着ワーザー、2011・2010年エリザベス女王杯1着スノーフェアリー、2002年ジャパンカップ(中山2200mで開催)1着ファルブラヴ、2着サラファンらがいる。

*6:主な所有馬はヌレイエフ、ミエスク、キングマンボなど。

*7:ミスタープロスペクター風に。

「日常系」の正体

久々の更新です。

初回の更新からずいぶんと間が空いてしまいました。Twitterを利用していると些細な考え事や思い付きはそちらに書いてしまうので、わざわざブログに書くとなるとどうも尻込みしてしまうような気がして、ここまで半ば放置していました。

さて、気を取り直して。

本記事では筆者の趣味であるアニメの一ジャンル「日常系」について、考えていこうと思います。

筆者を含めアニメファンは気軽に「日常系」という語を用いますが、そもそも「日常系」って何なのか、説明できるものなのでしょうか。

「日常系」とは

「日常系」と呼ばれるジャンルのアニメをいくつか視聴すると、それぞれに共通する要素がありそうだということが分かります。

この共通点を洗い出すことで、「日常系」というジャンルを上手く言い表すことができるかもしれません。

筆者は今までアニメを見てきた自己の経験より、「日常系」ジャンルの典型的な例として以下のようなものが挙げられると考えました。

  1. メインキャラクターが女子中高生
  2. 会話劇主体
  3. 到達すべき目標の欠如
  4. 時間的同質性

例えば『ゆるゆり』『のんのんびより』などは、上記に挙げた要素を満たしている典型的な日常系アニメと言えるでしょう。

これら2作品のように、日常系と呼ばれる作品は概して上記要素を満たしているものが多いですが、それではこれらに反するような日常系アニメは全く存在しないのでしょうか。

NEW GAME!』はメインキャストが社会人であり、ゲーム制作という到達すべき目標を持ち、また時間的同質性を欠く、つまり時間が物語と共に進んでいきます。会話劇主体であるかどうかは判断が難しいところですが、少なくとも1、3、4の要素に反しています。

また『日常』は1、3、4の要素は満たしていると考えられます。しかし『日常』はキャラクターの動作や表情で物語を構成する場面が散見され、2については会話劇が主体とまでは言い切れないのではないかと思います。

NEW GAME!』や『日常』は一般的には日常系アニメと見なされることが多いと思いますが、全ての要素を完璧に満たしているとは言い難いでしょう。

もっとも、上に挙げた要素は筆者自らの経験から浮かんだ要素を書き連ねたものであり、他にも日常系アニメに共通する要素や、逆に共通しない要素などというものも当然あるだろうと思います。*1

しかしながら、どうやら「日常系」というジャンルは、ベン図*2で書き表せるように「これとこれとこれの要素に当てはまったものがすなわち日常系」とはならないようだと言うことが分かります。

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ベン図

それでも我々アニメファンは「日常系」と聞くと、何となくそのアニメがどういうものか想像できてしまうものだと思います。

それでは、アニメ視聴者は一体どのようにして言葉でははっきりと言い表せない「日常系」というジャンルを各々の頭の中に想像し、そのイメージを形成するのでしょうか。

家族的類似

哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは語の意味というものを部分的な共通性によって結び付いた集合体とみなし、それを「家族的類似」と名付けました。

家族的類似とは、ある語の表す対象(外延)を唯一説明できるような言葉(内包)は存在せず、それら対象は家族がそれぞれ少しずつ共通したパーツや要素を持つように、緩やかな繋がりをもって存在しているとする考え方です。

例えば「スポーツ」という言葉を聞いたとき、一体どのようなものを想像するでしょうか。

野球、サッカー、バスケ、テニス、卓球、柔道、陸上競技……

ぱっと思いつくものを書き連ねましたが、これらに共通点はあるでしょうか。野球、サッカー、バスケなどは球技という点が共通します。サッカー、バスケは時間制限がある中で得点を取り合うというシステムが共通するでしょう。また、勝ち負けがある、相手がいる、なども根本的な共通点と見ることができます。

しかし柔道はボールを使いませんし、陸上競技の100m走は得点を競い合うものではありません。

また、勝ち負けや対戦相手という観点で言えば、ジョギングやサイクリングはどうでしょう。体を動かすという点では共通しているように見えますが、これらはスポーツには当たらないのでしょうか。

「球技」も「得点を競い合う」も「体を動かす*3」も、互いに少しずつ共通する要素ではあるものの、「スポーツ」を端的に言い表せる要素ではないと考えられます。

「スポーツ」という外延をただ一つの言葉で言い表せるような内包は存在せず、それぞれの要素の緩やかな集合体が「スポーツ」なのだとする考え方が家族的類似なのです。

筆者は、「日常系」というジャンルもウィトゲンシュタインが言うところの家族的類似のようなものではないかと考えています。

これといった一言で日常系を説明しきるような語や要素は存在しませんが、それぞれのアニメが少しずつ何らかの要素を共有しつつ、「日常系」というジャンルの全体像を構築していっているような気がするのです。

おわりに

ここまで「日常系」について考えてきました。

「日常系」というジャンルを端的に言い表せる表現や要素は存在せず、それぞれの要素や共通点を少しずつ持ち合うことで緩やかなまとまりを形成しているのではないか、という結論にひとまずは達しました。

そもそもなぜこのようなことを考える必要があったのかというと、時は遡りますが2019年の4月から6月まで放送されたアニメ「ひとりぼっちの○○生活」を視聴したことに端を発します。

「ひとりぼっちの○○生活」は原作を既に読んでいましたがアニメも最後まで楽しく視聴することができ、また他の日常系アニメとは少し違った魅力のようなものも感じることができました。

以前から「日常系」のあり方について考えることは度々あったのですが、このアニメを視聴して「他の日常系アニメとは少し違った魅力」を感じたことをきっかけに、一度「日常系」というものを整理してみようと思い立ち本記事を書くに至ったという訳です。

実はこの記事は前編となる予定で、後編では実際に「ひとりぼっちの○○生活」を取り上げその魅力について考えていきたいというのが当初思い描いていた計画でした。

しかしながら諸般の事情により後編を書くには至らず、かといって折角書いた記事を破棄してしまうのも勿体ないような気がしたので、一応「日常系」についての簡単な考察という体で投稿することにしました。

またいつか自分なりに考えが深まった時に改めて書くことがあるかもしれませんが、とりあえず今の段階ではここまでとしておきます。

読んでいただきありがとうございました。

*1:メインキャラクターの声優陣がOP及びEDを歌う、などはどうだろうか

*2:複数の集合の関係を図式化したもの

*3:体を動かさないスポーツとしては、e-sportsや将棋、チェスなどが考えられる

ボヘミアン・ラプソディ

先日、かねてより楽しみにしていた映画を観に行ってきました。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト 大ヒット上映中!

詳しくは公式HPを観ていただきたいと思いますが、簡単に言うと英国の誇る伝説的バンド「QUEEN」の栄光を描いた伝記映画です。

タイトルの『ボヘミアン・ラプソディ』というのは、QUEENの曲のタイトルをそのまま使っています。

www.youtube.com

We will rock you』や『I was born to love you』*1などと並んでQUEENを代表する曲の一つだと言えるでしょう。

基本あまり洋楽を聴かない私ですが、ほとんど唯一ファンだと言える洋楽バンドがQUEENなのです。
(といっても全楽曲を網羅しているというほど深く知っている訳ではなく、あくまで有名曲はある程度抑えている程度のライトなファンです)

予告の段階で非常に興味を惹かれ、公開翌日という早い段階で映画館に行ってきました。
にもかかわらず記事の公開が2週間近く遅れてしまったのは反省しております……

以下では、映画を観てきた感想を語っていきたいと思います。
ネタバレもわずかですが含みますので、気にする方はここで引き返していただけると幸いです。


映画の感想(多少のネタバレ含む)

  • メンバーの再現度

今作はQUEENの活動を振り返りその活躍を描く物語となっているため、俳優の方々はQUEENの各メンバーになりきって演じている訳ですが、正直に言って非常に高い完成度だったと思います。

というかほぼQUEENそのものでした。

ドラムのロジャー・テイラー、ベースのジョン・ディーコン、ギターのブライアン・メイはビジュアル面も非常によく再現しており、楽器を演奏しているシーンなどはほとんど本人かと見紛うようなレベルです。

ボーカルのフレディ・マーキュリーは、見た目こそややスケールダウンしている感はあります。しかしひとたびマイクを持つと、まるで本人が憑依したかのように完璧にフレディを演じていました。
拳を振り上げる動作などの細かな動きのクセもコピーしており、メンバーをバックにステージ上で歌う様はまさに私がYoutubeなどで何度も見たQUEENフレディ・マーキュリーそのものでした。

  • 音楽へのこだわり

劇中に登場する演奏シーンは基本的にQUEENのマスターテープから取り出して使っているため、本物QUEENの音楽を聴くことができます。
映画館の大スクリーンでQUEENの名曲を聴けるというだけでもお金を払う価値があると思いますね…

キャストも演奏しているフリではなく実際に演奏しているため、映像と音楽の違和感も全くありません。

今作で音楽プロデューサーとして製作に加わっているQUEENロジャー・テイラーブライアン・メイも楽器の演奏を教えています。
特にリードギターであるメイを演じたグウィリム・リーは、メイ本人が「映像を見たら本当に自分に見えた」とまで言っていることからも完成度の高さがうかがえます。*2

ちなみに、メイの愛用ギターであるレッド・スペシャルは100年以上前の暖炉の廃材から造られた自作ギターであり、これとジョン・ディーコンが製作したディーキーアンプとを組み合わせることで、QUEENサウンドの中心となるあの唯一無二の音色を奏でることができる訳です。
しかもメイはピック代わりに6ペンス硬貨を使って弾いており、それも独特な音色に寄与していると思われます。

このあたりのエピソードは映画では触れられていませんでしたが、作中で語られていたように斬新で奇抜な曲作りをしていたQUEENを代表するエピソードの一つとして、簡単に取り上げました。

今作はQUEEN結成から伝説的なパフォーマンスを見せたライヴエイドまでを中心として描かれています。

中でも映画のクライマックスを飾るライヴエイドのシーンは圧巻の一言でした。

www.youtube.com

実際のライヴエイドの映像です。もしまだ映画を観ていないと言う方は一度この映像に目を通してから行かれるとより大きな感動を味わえると思います。

私が一番好きなシーンは2:14辺りからのブライアン・メイのギターソロなのですが、上映開始当初から緩みつつもなんとか堪えていた涙腺がここにさしかかったタイミングでついに崩壊し、その後エンディングまでずっと涙が止まりませんでした。

ただ一つ、映画の謳い文句で「永遠に語り継がれるラスト21分」と言いつつも2曲ほど削っていましたかね。この映像で言えば12:08~17:18までは映画ではカットされていたように記憶しています。尺の都合もあったのかもしれませんがここはフルで観たかったというのが本音です。

おわりに

映画全体を振り返ると、名曲と共に時系列でQUEENの活動を追っていき最後はライヴエイドで大団円という形になっており、QUEENをよく知らないという人でも十二分に理解でき、楽しめる内容になっていると思います。

もちろん知っている人は知っている人で楽しめるエピソードも沢山描かれており、このあたりのバランスの絶妙さはまさに大衆的評価を受けつつも常に斬新な音楽を作り続けていたQUEENならではだなと感じています。


もっと語りたいことがあったような気もしますが、この記事を書くまでに多少時間があいたこともありあまり言葉になって出てきません。
正直観る前の期待値を大幅に超えた完成度で、映画を観た直後は半ば放心状態で脳内もよくまとまっていなかったことも影響していると思います。

振り返ってみると感想というより映画の紹介みたいになってますね…
時間が許せばもう一度冷静に観て感想らしい感想を書きたいと思っていますが、ちょっと難しいかもしれません。

と言うのも、もう一度観て一回目に受けた感動を超えられるかどうかという疑念が自分の中にあり、それならばとにかく衝撃に押しつぶされるだけで終わった初回の感動を抱き続ける方がいいのかと思ったり思わなかったり……


ともあれ、まだ映画を観ていないという方がこの記事を読んで、多少なりとも観てみようかなという気を持っていただけたなら書いた甲斐があったというものです。
その意味では紹介的な内容になってしまったことが逆に良かったかもしれません。


それではこの辺りで、筆を置かせていただきます。読んでいただきありがとうございました。

*1:Vo.フレディのシングルを後にQUEENの曲として再編

*2:https://www.youtube.com/watch?v=-QmHiaXVGlQ

Profile

自己紹介をします。(2020/11/30現在)

野球

巨人ファンです。

2009年第2回WBCでの小笠原道大選手の活躍を見て野球に興味を持ち始め、小笠原選手が巨人にいたことから巨人ファンになりました。

艦これ

2013年の秋頃から始めました。甲種勲章13です。

なるべく甲で攻略できるように頑張ります。

音楽

Mr.Children/B'z/BUMP OF CHICKEN/サザンオールスターズ/福山雅治/スピッツ

など、色々と聴きます。

競馬

ウマ娘に影響され、競馬を見るようになりました。

海外競馬、特に欧州競馬もチェックしています。

予想では血統、データ重視派です。

好きな馬はテイエムオペラオーハーツクライなどです。

アニメ

クール毎10~15本程度は観てます。
特に個人的評価が高かったアニメは以下の通り。