サラトガGⅠデー展望
こんにちは。
アメリカのサラトガ競馬場では、8月28日の午後(日本時間で29日早朝)に、GⅠ競走が一挙6レースも行われる大イベントが開催されます。
本記事ではこの開催で行われるレースの基本情報と主な有力馬をまとめたので、展望していきたいと思います。
なお本記事で使用する情報・データは以下のサイトを主に参考にしています。
サラトガ競馬場
サラトガ競馬場はニューヨーク州サラトガスプリングスに位置する競馬場で、ニューヨーク競馬協会(NYRA)が運営を行っています。*1
サラトガ競馬場では28日に行われる6競走を含め、年間18ものGⅠ競走が開催されています。*2
なお時差についてですが、アメリカは現在サマータイム*3期間のため、ニューヨーク州のある東海岸の東部時間(EDT)と日本との時差は13時間です。
Ketel One Ballerina Handicap
第7レース バレリーナハンデキャップ
15:02発走(日本時間4:02) 7F 3歳上牝馬 ダート 7頭立て
28日のGⅠ競走1レース目はバレリーナハンデです。
3歳以上の牝馬限定戦で、ダートの1400mで行われます。
モーニングライン(ML)*4での1番人気はGamine(ガミーン)で、3-5の1.6倍と抜けた人気になっています。
4歳牝馬のGamineは名門ボブ・バファート厩舎、父は目下2年連続全米リーディング種牡馬のInto Mischief。
過去9戦して8勝、唯一の黒星は昨年のケンタッキーオークスで、3位入線後禁止薬物のベタメタゾンが検出されたことでDQ*5になったものです。
GⅠは2020年エイコーンS、テストS、BCフィリー&メアスプリント、21年ダービーシティディスタフSと4勝を挙げています。
距離が長かったケンタッキーオークスを除けば非常に安定した成績を残しており、ここも通過点となりそうです。鞍上はJ・ヴェラスケス。
2番人気はCe Ceで5倍。GⅠは昨年のビホルダーマイル、アップルブロッサムハンデの2勝しています。
Forego Stakes
第8レース フォアゴーステークス
15:37発走(日本時間4:37) 7F 4歳上 ダート 8頭立て
GⅠ競走2レース目のフォアゴーSは4歳以上のダート1400mで行われます。
現在日本で種牡馬となっているパイロやドレフォンが過去に勝っているレースです。
ML1番人気はYaupon(ヤウポン)で3.5倍。
父は昨年リーディング3位のUncle Mo、調教師は今月に北米歴代最多勝記録を更新したスティーヴン・アスムッセン。
過去7戦して5勝、重賞は2勝。昨年のBCスプリントと今年3月のドバイゴールデンシャヒーンは共に8着に負けています。
前走ピムリコの条件戦を初コンビで制したRサンタナJr.を鞍上に、GⅠ初勝利を狙います。
4.5倍で2番人気のMind Controlは18年ホープフルS、19年アレン・ジャーケンスSと過去GⅠ2勝を挙げています。
その後しばらく低迷しましたが前走ジョン A. ネルードS(GⅡ)で9戦ぶりに勝利を収めました。
H Allen Jerkens Memorial Stakes
第9レース H・アレン・ジャーケンスメモリアルステークス
16:12発走(日本時間5:12) 7F 3歳 ダート 6頭立て
GⅠ競走3レース目のアレンジャーケンスSは3歳限定のダート1400mで行われます。
過去の勝ち馬にはモアザンレディ、ヘニーヒューズ、ハードスパン、ドレフォンなど。
このレースには何と言っても、春までは今年の3歳世代の押しも押されぬ大本命だったLife Is Good(ライフイズグッド)が出走してきます。
このInto Mischief産駒の3歳馬は昨年秋のデビューから無敗の3連勝を飾り、特に前走GⅡサンフェリペSでは8馬身差の圧勝で制しました。
ケンタッキーダービーのフューチャーウェイジャー*6でも1番人気に支持されており、クラシックの最有力候補と目されていながら、故障により無念の戦線離脱。
休養中に調教師はボブ・バファートからトッド・プレッチャーに代わり、復帰時期としてはBCには間に合うだろうとのことでしたが、ようやく復帰戦が決まりました。
レーティングでも既に120を獲得しており、北米の3歳馬ではベルモントSを制したエッセンシャルクオリティ(121)に次ぐ2位。
BCではこの数字を更に伸ばしてくれることを期待しています。
さすがに復帰戦とあってMLオッズは2.6倍の2番人気で、鞍上は名手マイク・スミス。
1番人気はJackie's Warriorで、オッズはEvens*7の2倍。
昨年はサラトガのホープフルSとベルモントパークのシャンペンS(共にGⅠ)を勝っています。
Personal Ensign Stakes presented by Lia Infiniti
第10レース パーソナルエンスンステークス
16:47発走(日本時間5:47) 1M1F 4歳上牝馬 ダート 9頭立て
GⅠ競走4レース目のパーソナルエンスンSは4歳上牝馬のダート1800mで行われます。
1番人気はLetruska(レトルスカ)で2.2倍。鞍上はI オルティス Jr. 。
この5歳のスーパーセイヴァー産駒は元はメキシコで走っていた馬で、メキシコのGⅠを2勝しています。
その後北米で走り、今年に入ってアップルブロッサムH、オグデンフィップスSとGⅠ連勝、その後のフルールドリスS(GⅡ)を含めて重賞3連勝中です。
アップルブロッサムHではGⅠ7勝馬モノモイガール、プリークネスS馬スイススカイダイバーを下しての勝利でしたが、そのSwiss Skydiverもここに出走してきます。
スイススカイダイバーは4.5倍の2番人気で、昨年のアラバマSでGⅠ初勝利を飾った後、ケンタッキーオークスではシーデアーズザデビル(オグデンフィップスでは3着)の2着。
その後は牡馬戦線へ殴り込みをかけ、プリークネスSではケンタッキーダービー馬オーセンティックを下し、レイチェルアレクサンドラ以来の史上6頭目の牝馬の優勝となりました。
今年に入りビホルダーマイルSを制しGⅠ3勝目を挙げましたが、アップルブロッサムHの敗戦後ホイットニーSでもニックスゴーの4着。
レトルスカへのリベンジが掛かる一戦です。
またアメリカンファラオ産駒が2頭出走し、Harvey's Lil Goil(ハーヴェイズリルゴイル)は昨年のクイーンエリザベス2世チャレンジカップSで産駒初のGⅠ勝利を挙げています。*8
もう一頭はバファート厩舎でクールモア*9のAs Time Goes Byで、重賞2勝。
Harvey's Lil Goilが9倍の4番人気、As Time Goes Byが7倍の3番人気。
Resorts World Casino Sword Dancer Stakes
第11レース ソードダンサーステークス
17:25発走(日本時間6:25) 1M4F 4歳上 芝 7頭立て
GⅠ競走5レース目のソードダンサーSは4歳上の芝2400mで行われます。
ミスター・シルバーコレクターのフリントシャーが連覇したことで有名なレースですが、今年はJapan(ジャパン)が遠征してきます。
エイダン厩舎の5歳馬は3歳時にパリ大賞とジャドモントインターナショナルを連勝し、後者ではその年のプリンスオブウェールズS勝ち馬クリスタルオーシャンに競り勝ちました。
その後は長い低迷期に入り、欧州ではGⅢを勝つのがやっとといった現状です。アメリカで久々のGⅠ勝利となるでしょうか。
MLでは5.5倍の4番人気。
1番人気は前走モンマスパークのGⅠユナイテッドネイションズSを制したTribhuvanです。
元はフランスで走っていた馬で、アメリカのチャド・ブラウン厩舎に移籍後、初重賞制覇・初GⅠ制覇をそれぞれ達成しています。
父はリチャードハノン厩舎でサセックスSやクイーンアンSを制したToronado、オッズは3倍に支持されています。
Runhappy Travers Stakes
第12レース トラヴァーズテークス
18:12発走(日本時間7:12) 1M2F 3歳 ダート 7頭立て
メインのGⅠ6レース目は、別名Mid-Summer Derby(真夏のダービー)トラヴァーズSです。
過去に様々な名馬が制したこのレース、近年ではティズザロー、アロゲート、サマーバード、ストリートセンス、バーナーディニ、メダグリアドーロなどに、ティファニーのトロフィとカーネーションのブランケットが送られています。
4-5の1.8倍、堂々のML1番人気はEssential Quality(エッセンシャルクオリティ)。
ブリーダーズフューチュリティ、BCジュベナイルを含む破竹の無敗5連勝でケンタッキーダービーに歩を進めましたが、メディーナスピリットの4着に敗北。*10
プリークネスSを回避して臨んだベルモントSでは、ケンタッキーダービー3着ホットロッドチャーリーやプリークネスS馬ロンバウアー相手に、1と四分の一馬身差で貫禄の勝利を収めました。
ブラッド・コックス厩舎のタピット産駒は7月のジムダンディS(GⅡ)も勝利し、クラシック世代の総大将としてGⅠ4勝目を狙います。鞍上はルイス・サエス。
5.5倍の2番人気はMidnight Bourbon(ミッドナイトバーボン)で、ケンタッキーダービーは6着、プリークネスSはRunner-up*11でした。
その後に臨んだハスケルSでは、ホットロッドチャーリーの斜行に巻き込まれ落馬・競争中止でDNF*12*13となりました。
Sアスムッセン厩舎のティズナウ産駒、鞍上はR サンタナ Jr.になります。
3番人気は7倍で2頭並んでおり、Keepmeinmindは前走ジムダンディSで2着、Dynamic Oneは前走リステッドのカーリンSを制しています。
まとめ
以上、28日のサラトガGⅠ6レースを展望しました。
日本時間では早朝4時頃~7時頃と、全部見ようとすると中々大変な時間ですが、ここまで読んでくれた方は是非結果だけでもチェックしてみてください。
レースのライブは以下のNYRAのYoutubeチャンネルで配信してくれるはずです。
また、NYRAや、At The Racesの公式ツイッターでは速報映像をツイートしてくれるはずなので、こちらも要チェックです。
公式な結果はEquibaseで調べると分かりやすいと思います。
JRAのホームページでは競馬主要国の情報サイトの見方も説明してくれているので、Equibaseの見方が分からないという方は参考にどうぞ。
年末に向けて、愛・英チャンピオンズデーや凱旋門賞ウィークエンド、ブリーダーズカップ、香港国際競走などなど、このサラトガ開催よりもさらに規模の大きな開催が続々と続いていきます。
海外競馬に興味があるという方、もしくはこの記事を読んで少しでも興味が湧いたという方がいれば、今後も展望記事含め海外競馬関連の記事を書いていきたいと思いますので、是非読んでいただければ幸いです。
それでは。
*1:NYRAが運営する競馬場には他に、シガーマイルHなどが行われるアケダクト競馬場、ベルモントSなどが行われるベルモントパーク競馬場がある。
*2:2021年現在。
*3:アメリカではDaylight Saving Time (DST)
*4:主催者発表の予想オッズ。欧州やアメリカ競馬のオッズについて、「3-2」や「3/2」とフラクショナル(分数)形式で書かれている場合は、右の数字と左の数字を足したものを右の数字で割る。この場合なら(3+2)÷2=2.5倍となる。なおアメリカなどでは一見日本式のように「5」と単独の数字だけ表示されている場合があるが、この場合も実際には「5-1」の右側の1が省略されていると考え、(5+1)÷1=6倍と読む。
*5:disqualified:失格
*6:ケンタッキーダービーの長期前売り。5回程度のプールに分けて行われる。
*7:1-1のオッズのこと。
*8:アメリカンファラオ産駒のGⅠ勝利は他に、Van Goghのクリテリウム・アンテルナシオナルとカフェファラオのフェブラリーSの計3勝。
*9:アイルランドに拠点を構える世界的オーナーブリーダー。 クールモアの有力馬2020 - ことばの通い路 を参照。
*10:バファート厩舎のメディーナスピリットは、レース後に禁止薬物ベタメタゾンが検出された。再検査でも陽性が示され依然として係争中。失格となる可能性もあり、その場合はマンダルーンが繰り上がり優勝となる。
*11:2着のこと。
*12:Did Not Finishの略。
*13:なおホットロッドチャーリーはDQとなりマンダルーンは繰り上がり優勝でGⅠ初制覇。上記注の通りケンタッキーダービーも繰り上がり優勝となる可能性がある。