ことばの通い路

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クールモアの有力馬2020

The master of Ballydoyle

クールモアスタッドの所有馬の大半を管理するエイダン・オブライエン調教師。調教は専らクールモアの専用調教場であるバリードイルで行われ、ここから数々のスターホースが生まれています。

そんなクールモア陣営の有力馬たちの今後の予定が、海外競馬メディアであるat the racesの以下の記事にまとめられていました。

www.attheraces.com

私自身の備忘録的な意味も込めて簡単に翻訳したので、紹介してみることにします。

最近はDeepL翻訳というサイトが便利で、競馬関係の英文記事をここで翻訳して大雑把に意味を掴んだりしてます。

今回もDeepL翻訳の力を借りつつ、細部は私自身で手直ししながら訳してみました。所々翻訳が微妙なところがあったりするかもしれませんが、まあ大目に見てください。

なお、元の記事から次走の予定とエイダンのコメントを抜き出して掲載しますが、次走予定とコメントの内容があまり噛み合ってないところもあるので、その辺りはご了承ください。*1

What is Coolmore

紹介に入る前に、ごく簡単にクールモアについて触れておきます。知ってるよと言う人は読み飛ばしてください。

クールモアはアイルランドを中心に競走馬の生産・所有を行うグループです。

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Coolmore

上の写真の右から2番目がクールモアの事実上の総帥であるジョン・マグナー氏です。このマグナー氏と、真ん中のマイケル・テイバー氏、一番左のデリック・スミス氏の3名が競走馬を共同所有しています。

また、写真の左から2番目がエイダン・オブライエン師、一番右が主戦騎手のライアン・ムーアです。

エイダンはいつもグラサンをかけて携帯電話を片手に持っているイメージです。ムーアは日本でもお馴染みですが、勝った時に敬礼のようなポーズで指を帽子に添えるのが格好いいですね。

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Ryan Moore & Salios

競走馬の馬主名義は大抵マグナー氏の妻であるスーザン・マグナー氏(以下マグナー夫人)の名を使い、「Mrs John Magnier, Michael Tabor & Derrick Smith」といった風に連名で表記されます。

競走馬によってそれぞれ表記順が異なり、先頭に記される名前の人の勝負服を着ることになります。

マグナー夫人の勝負服は濃紺です。クールモアと言ったらこの勝負服ですね。ゴドルフィンのロイヤルブルーと並ぶ有名な単色勝負服です。

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Giant's Causeway

画像のジャイアンツコーズウェイの他、ガリレオディラントーマスデュークオブマーマレードなど錚々たる名馬がいます。他の勝負服も全部錚々たる名馬ですが。

マイケル・テイバー氏の勝負服はこれです。

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Hurricane Run

個人的にこの勝負服がクールモアの中で一番好きです。ハリケーンランの他、モンジューハイシャパラル、オーダーオブセントジョージなど。やっぱり凄い。

そしてデリック・スミス氏。

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Camelot

全部格好いいですね。キャメロットの他、マインディング、オーストラリア、サクソンウォリアーなど。

ちなみに、これらの勝負服を着ていたとしても共同所有ではなく個人所有の場合があるので気をつけてください。上記の例ならディラントーマスデュークオブマーマレードは名義がマグナー夫人のみ、ハリケーンランモンジューはテイバー氏の個人所有といった具合です。

それでは次項から古馬の紹介をしていきます。

古馬(4歳以上 牡・牝)

  • Anthony Van Dyck アンソニーヴァンダイク 4 牡

次走:コロネーションカップ GⅠ 6/5 ニューマーケット

「現時点ではコロネーションカップに出走させ、そこから様子を見る。2000mから2400mを使い続ける予定で、良馬場で使えることが重要になる。昨年重馬場のキングジョージを走らせたことが彼を動揺させたようなので、今年はできるだけそれを避けたい。」

ご存知、昨年の英ダービー馬ですね。

ダービーでは4番人気*2ながら場群を上手く捌いて勝利をおさめたものの、続く愛ダービーでは同厩舎のソヴリンに6馬身差をつけられ敗北。*3

その後はアメリカや香港を転々としましたが結局勝利をあげることはできず。

2015年のゴールデンホーン*4以来強いダービー馬が出てきていないような気がするので、アンソニーヴァンダイクには是非頑張ってもらってダービー馬の意地を見せつけてほしいところです。


  • Broome ブルーム 4 牡

次走:コロネーションカップ GⅠ 6/5 ニューマーケット

コロネーションカップから始動する。彼には良馬場が良く、2400mが合っている。昨年は一年を通して使えなかったし、愛ダービーも上手くいかなかった。今年は4歳になってより良くなると考えており、どんな走りを見れるか楽しみだ。」

後述するジャパンと共に、日本人馬主であるキーファーズと共同所有されています。勝負服はマイケル・テイバー。

2019年の凱旋門賞では武豊鞍上で出走するかと思われましたが、体調不良で回避しました。また、宝塚記念への予備登録がこれもジャパンと共になされていましたが、やはり回避しています。

近年外国馬が出走しても全く結果を残せないジャパンカップと違って、宝塚記念は開催時期的に馬場が渋りやすく、また阪神競馬場2200mという非根幹距離(400の倍数でない距離)で開催されます。

そのため外国馬が好走する可能性もある*5と思っていただけに、結果的に参戦せずということで残念です。

なお、創設以来初めて外国馬の参戦がなかった昨年のジャパンカップですが、それこそ昨年のような渋った馬場でない限り外国馬が好走することはもうほぼ不可能に近いと思われます。

2011年にはデインドリーム、2012年はソレミアと凱旋門賞馬が連続して来ましたが、結局6着・13着と、府中ではまったく実力を発揮できでいないのが現状です。

開催場や距離の変更など色々と考えることはありますが、その辺りのことはまたいずれ書くつもりです。


  • Circus Maximus サーカスマキシマス 4 牡

次走:グラッドネスステークス GⅢ 6/13 カラ

「彼は調子が良く、ロイヤルアスコットクイーンアンステークス(6/16)に直行する予定。テンポの良さを楽しんでいるし、マイルが一番似合っているように思えるので、その辺りを維持することになるだろう。」

サーカスマキシマスはクールモアとフラックスマンステーブルズとの共同所有です。前述のブルームしかり最近クールモアは共同所有が増えている気がします。何か狙いがあるんでしょうね。

ラックスマンとはスタブロス・ニアルコス*6に端を発するニアルコスファミリーの馬主名義の一つです。

そのため勝負服はクールモアのいずれのものでもなく、ニアルコスファミリーの勝負服で出走しています。

次走予定がグラッドネスステークスになっていますが、インタビューではクイーンアンステークスになっています。どちらを使うのか、はたまた両方使うのか分かりませんが、マイル路線を使うのは確かなようです。

セントジェームズパレスSムーランドロンシャン賞を勝っているので妥当でしょう。トゥーダーンホットが引退した今、欧州マイル最強馬の座にもっとも近いのはこの馬でしょうか。


  • Fleeting フリーティング 4 牝

次走: ランウェイズスタッドステークス GⅡ 6/13 カラ

「調子が良く、始動する準備はできている。ムーアズブリッジステークスかロイヤルアスコットに直行するのが主な選択肢になるだろう。2000mか2400mが一番合っている。去年GⅠを勝てなかったのは少し不運だったが、良いレースをしてくれたし、今シーズンももっと良いレースができると期待している。」

昨年愛オークスヴェルメイユ賞(仏の牝馬セントレジャー。日本でいうところの秋華賞)で、あのエネイブルを管理する英ジョン・ゴスデン厩舎のスターキャッチャーに負けた馬ですね。

この馬も次走がはっきりしません。勝負服は濃紺です。


  • Japan ジャパン 4 牡

次走:プリンスオブウェールズステークス GⅠ 6/17 アスコット

「彼には本当に満足している。始動戦はロイヤルアスコットプリンスオブウェールズステークスになるだろう。2000mと2400mの両方に合っており、良馬場が向いているようだ。昨シーズンはレースを重ねるごとに成長してきたので、今シーズンはさらに成長してくれることを期待している。今後が楽しみな馬だ。」

前述したようにキーファーズとの共同所有馬です。勝負服はデリック・スミスの紫のやつです。

ダービーでは3着に敗れたものの、英国際SではプリンスオブウェールズS勝ち馬クリスタルオーシャンや日本のシュヴァルグラン相手に勝利をおさめました。

その後凱旋門賞でも4着と好走したクールモアの中長距離路線での牡馬大将格です。ジャパンがジャパンで走るところを見たかった…


  • Kew Gardens キューガーデンズ 5 牡

次走:ゴールドカップ GⅠ 6/18 アスコット

ロイヤルアスコットゴールドカップに直行するつもりだ。勿論前哨戦を使った方が良かっただろうが、ドバイミーティングで使う準備をしていたので、今年の早い段階から良い状態になっている。遠征が彼の能力を最大限引き出すと考えており、昨年10月アスコットで3200m以上の距離に初挑戦した時は我々を喜ばせてくれた。ゴールドカップは彼にとってもう一つのステップアップになるだろうが、上手くいくことを期待している。彼は一流のステイヤーだ。」

2018年英セントレジャー勝ち馬ですね。勝負服はデリック・スミス。

昨年は愛セントレジャー2着から英チャンピオンズロングディスタンスCに向かい、長距離界の絶対的王者ストラディヴァリウスを下しています。

そのストラディヴァリウスコロネーションカップに登録があるので、今年は目下2連覇しているゴールドカップには向かわないかもしれません。

キューガーデンズはストラディヴァリウス不在のゴールドカップをしっかり勝ち切りたいところ。


  • Magic Wand マジックワンド 5 牝

次走:ランウェイズスタッドステークス GⅡ 6/13 カラ

「2000mから2400mで速い馬場と平坦コースが望むところだ。大きなレースには全て出走させるつもりだし、牡馬がどこを使うかに応じて彼女の合う舞台を使うだろう。遠征が好きで、どこで走るのか彼女自身も直前まで知らない。あらゆる面で素直で、調教が楽しいよ。」

世界を股に掛けるクールモアのドサ回り担当。愛、英、仏、米、UAE、豪、香、サウジの8ヵ国を渡り歩いています。勝負服はマイケル・テイバー。

2着の数は計9回で、厩舎の先輩ファウンド(11回)やミスターシルバーコレクター*7・フリントシャー(12回)の背中が見えてきました。

ちなみに同時期に走っていた上記2頭、シルコレとしてはフリントシャーの勝ちですが競走馬としては凱旋門賞を制したファウンドに軍配が上がるでしょうか。

ファウンド凱旋門賞勝ちタイム2:23.61はレコードであり、今も破られていません。


  • Magical 次走:ランウェイズスタッドステークス GⅡ 6/13 カラ

ロイヤルアスコットプリンスオブウェールズステークスは、彼女にとっては少し早いかもしれないので、6月28日にカラで行われるプリティポリーステークスに出走する可能性が高い。2000mが合っているようだ。急がせるつもりはなく、秋に向けて最高の状態を目指す。彼女のような優秀な牝馬がまた1年も調教に戻ってくるのは本当に嬉しいことだ。」

エネイブル被害者の会の一頭。一度は引退宣言したものの撤回し、2020年も走ることになりました。勝負服はデリック・スミス。

2018年の凱旋門賞以来、エネイブルのいないレースでは(6・1・0・0)と圧倒的な強さを見せています。18・19年の凱旋門賞では10着・5着と大きく負けていますが、やはりエネイブルが前を走っていました。

また愛・英チャンピオンSでは、日本のディアドラに立ちはだかっています。

次走はよくわかりません。いずれにせよまたディアドラやエネイブルと女の戦いを見せてほしいですね。


  • Sir Dragonet サードラゴネット 4 牡

次走:コロネーションカップ  GⅠ 6/5 ニューマーケット

「ネース競馬場でのレース以来彼にはとても満足している。コロネーションカップに出走するが、そこでも走ってくれるだろう。2000mと2400mの距離を使っていくと思う。ドナカはセントレジャーでの遠征は合わなかったと考えている。今年のホームでの彼の走りはとても良い。」

昨年のダービーは1番人気で5着。ライアン・ムーアを背に濃紺の勝負服を身に纏っていたのはこの馬でした。

年明け初戦ネース競馬場でのリステッドレースでは2着。コロネーションCは復活がかかる一戦です。


  • Sovereign ソヴリン 4 牡

次走:未定

「調子は良いが、彼はどちらかと言うと秋期向きの馬だと考えているので、今のところは緩やかにやっている。体力的にも良く、馬場でも扱いやすく純粋な馬だ。2400mが合うだろう。」

昨年の愛ダービーでアンソニーヴァンダイク相手に大逃げを敢行し勝利。英ダービーでは9馬身ほど負けていたのに今度は6馬身の差を付けて雪辱を果たしました。

この愛ダービー以来1年近く出走していません。復帰戦は秋以降ということでもっと間隔が空きそうです。



古馬は以上です。翻訳ミスなどありましたら遠慮なくご指摘ください。

続いて3歳馬ですが、記事が長くなったので次回とします。元記事の馬を全部取り上げるのは結構面倒くさいので、次は何頭かピックアップする形になるかもしれません。

ひとまず、ここまで読んでいただきありがとうございました。

*1:欧州競馬ではとりあえずレースに登録だけしておき、直前で回避(スクラッチ)するということがよくある。本当に使うかどうかは結局当日になってみないと分からないのである。

*2:クールモア陣営の主戦騎手ライアン・ムーアはサードラゴネットに騎乗しており鞍上はシーミー・ヘファーナン、勝負服もマグナー夫人の第2服色である桃色。

*3:満を持して鞍上はムーア騎手、第1服色の濃紺の勝負服となったが、桃色の勝負服を着たソヴリンに先着され、英ダービーとは逆の立場となってしまった。

*4:Golden Horn デットーリ騎手とのコンビでダービー、凱旋門賞などGⅠ4勝。生涯全連対で抜群の安定感を誇った。

*5:2200mで好走した外国馬としては、2018年宝塚記念2着ワーザー、2011・2010年エリザベス女王杯1着スノーフェアリー、2002年ジャパンカップ(中山2200mで開催)1着ファルブラヴ、2着サラファンらがいる。

*6:主な所有馬はヌレイエフ、ミエスク、キングマンボなど。

*7:ミスタープロスペクター風に。