ことばの通い路

たまに何か書きます

ハムダンさんは紛らわしい

中東の石油王ハムダンさんとそれを取り巻く女の子たちとのキャッキャウフフなハーレム日常アニメのレビューを期待してこのページを開いた人たち、残念でした。

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競馬の話です。



こんにちは。

前回の記事で後編を書くと言いながら見事にスルーしてしまいました。

その時は書こうと思っていても、基本的にやる気が5分しか続かない性分なので…

今後もそのあたりはご容赦ください。

さて、今回はハムダン氏に関する小話です。

私が個人的に感じた疑問についてちょっと調べてみたというだけの話ですが、これがなかなかに紛らわしく放っておくとまたいつか勘違いしそうなので、ここで記事として残しておくことにします。

ジャック・ル・マロワ賞

事の発端は2020年8月16日に行われるジャック・ル・マロワ賞の出走メンバーを調べていた時のことです。

ジャック・ル・マロワ賞 (Prix Jacques le Marois) とはフランスのドーヴィル競馬場で行われるマイル(1600m)のGⅠで、ロンシャン競馬場で行われるムーラン・ド・ロンシャン賞と対をなすフランス最高峰のマイルレースです。

イスパーン賞を制したペルシアンキング、ロイヤルアスコット開催でGⅠを勝利したパレスピア、アルパインスター、サーカスマキシマス、昨年の覇者ローマナイズドなど、前日の15日段階で登録7頭中GⅠ馬が5頭という豪華顔ぶれが揃いました。

world.jra-van.jp

各出走予定馬を上記のJRA-VAN Ver.World*1を使い一通り予習していたのですが、パレスピアのページに気になる箇所がありました。

6月のロイヤルアスコット開催で行われたセントジェームズパレスステークス(GⅠ・芝1600m)を勝利したパレスピアですが、馬主の欄に「シェイク・ハムダン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム」と書いてあります。

海外競馬に関心がある方ならご存知かもしれませんが、ここに記載のあるハムダン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏(以下ハムダン殿下)*2は競走馬のオーナーブリーダーで、ドバイの副首長も務めています。*3

ハムダン殿下といえば青を基調に両肩に白のワンポイントが入った勝負服でお馴染みで、最近だとサセックスステークスを勝ったモハーザー、サンタラリ賞を勝ったタウキールなどの活躍馬がいます。

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Mohaather

対して、パレスピアの勝負服は以下です。

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Palace Pier

前回紹介したクールモアなどはいくつか勝負服を持っていて使い分けますが、ハムダン殿下所有の馬でパレスピアのクリーム色の勝負服を見たことがありません。

これはどういうことなのでしょうか。

もう一人のハムダン氏

結論から言うと、パレスピアの馬主であるハムダン氏と、ハムダン殿下としてお馴染みのハムダン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏は別人です。

先の疑問について簡単に調べたところ、このような記事を見つけました。

highrise.hatenablog.com

この記事の内容を要約すると、主要な海外競馬関係者でハムダンという名を持つ人物は二人いて、一人はゴドルフィン総帥モハメド殿下の兄・ハムダン殿下(ハムダン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム)、もう一人がモハメド殿下の息子であるハムダン・ビン・モハメド・アール・マクトゥーム氏ということです。

そしてパレスピアの馬主は、後者であるハムダン・ビン・モハメド・アール・マクトゥーム氏(以下ハムダン皇太子)です。

英国の海外競馬情報サイトであるRacing Postによると、パレスピアのOwnerは「Sheikh Hamdan bin Mohammed Al Maktoum」となっており、確かにハムダン皇太子が馬主だと分かります。

www.racingpost.com

つまり、私が疑問に思ったJRA-VAN Ver.Worldのパレスピアのページの馬主欄の記載は誤りだということです。

先程参考に上げた記事では、ハムダン皇太子が所有していたEastern Anthemという競走馬のWikipediaにおいて馬主がハムダン殿下になっており、またハムダン殿下の日本語版・英語版Wikipediaでもこの馬が所有馬として記載されているという指摘をしています。

このハムダン氏混同問題はやはり相当紛らわしいもののようで、他でもこういったミスが結構ありそうです。

なにせシェイク・ハムダンというだけでは区別ができず、続く名前がビン・ラーシド(ラーシドの息子のハムダン)かビン・モハメド(モハメドの息子のハムダン)かまでをしっかり把握しないと分かりませんからね…

ちなみに私が信頼を寄せる日本・海外競馬のデータベースサイト「優駿達の蹄跡」

優駿達の蹄跡 - 競馬データベース

では、パレスピアもイースタンアンセムも馬主欄はしっかりハムダン皇太子となっていました。流石です。

まとめ

以上、ちょっとした疑問を解消した小話でした。

これを読んだ人の中で誰かやる気のある方はJRA-VAN Ver.Worldのお問合せページから誤りの指摘をお願いします。

私はやる気が5分しか続かないので、もっと言うと面倒くさいのでしませんが。

なおハムダン皇太子ですが、どうやらイケメンで有名らしく「ハムダン皇太子」で検索すると競馬と全く関係のないサイトが取り上げていたり、イケメンと呼ばれるのも納得の様々な写真が出てきます。

競馬を知らない人の方がむしろ引っかからないのでは…?

*1:JRAの子会社が運営する競馬情報サービスJRA-VAN内の、海外競馬特集サイト。

*2:「シェイク」とはアラビア語で首長や知識人を表す尊称シャイフの英語読み。

*3:弟はUAE首相兼ドバイ首長、競走馬管理団体ゴドルフィンのトップでもあるモハメド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏(シェイク・モハメドまたはモハメド殿下)。